エコーズ・ラッタは従来の意味でのグラマーを追求しません。彼らのスパンコールは磨き上げられた輝きではなく、むしろ矛盾を孕んだ光沢 ― わずかにずれた感覚や不完全さに宿る魅力です。このドレスは2020年春夏コレクション、ルック24からの一着で、アメリカの定番シルエットであるスリップドレスをゆるやかなスパンコールでひねり、イブニングウェアの常識に抗っています。実験的でありながら自然体の佇まいは、マイク・エコーズとゾーイ・ラッタによるブルックリン発のクールを体現し、ニューヨークファッションの静かな急進性を示しています。